DTMを始めたい。自宅録音もしてみたい。
でもその次のステップが分からない。どうしたら曲を作ることができるのだろうか。
そんな音楽制作初心者の方に作品作りのための機材選びのノウハウを紹介します。
今やパソコンは必需品です。

現在の音楽制作ではプロもアマチュアも普通にパソコンを使っています。パソコンを使わなくてもレコーダーを使って曲は作れますが、バンドで演奏を録音したり、あるいは自分でいくつかの楽器をこなして録音したりする必要があります。それができるのならマルチトラックレコーダーを1台用意すれば曲作りは可能です。
ただこのサイトではDTM(Desk Top Music)と宅録(自宅録音)を銘打っていますので、パソコンを中心とした、基本的に一人でも曲制作ができる方法を紹介していきます。
音楽制作に必要なパソコンはどんなものがいい?
まず何故パソコンが必要なのかと言う事を説明します。
今の音楽制作ではDAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれる音楽制作ソフトを使うのが普通です。DAWを使うメリットは大きく、以下の様に挙げられます。
1:ドラムやピアノ・シンセサイザー、ギター等の楽器を用意しなくてもDAW内のソフトシンセを使ってそれらの楽器を再現できる。
2:ボーカルやリアルな楽器を録音したり、録音したものを後から修正・編集できる。
3:パソコンの容量内で多くの曲を作り、保存できる。
4:出来上がった曲から簡単にCDを作れたり、ネット上にアップロードしたりできる。
まだありますが、主なものはこんなところでしょう。
ではデメリットは何かと言うと、
1:パソコンやDAWは結構費用がかかる。
2:音楽制作のためのパソコンの知識が少し必要。
3:DAWを使いこなすにはある程度の時間と労力が必要。
等が挙げられます。
デメリットもありますが、はるかに上回るメリットがあるため、多くの音楽制作者達はパソコンを制作の核としているのです。
パソコンはMac?Windows?
MacとWindowsどちらを選ぶべきかまず悩む方もいると思います。ざっくり言えばどちらでもかまいません。現在持っているパソコンでも音楽制作ができる可能性はあります。ただプロの現場ではMacの使用率が高いです。
コストパフォーマンスがいいのはWindowsですが、どちらでも最新に近いOSであるかどうかの方が重要です。MacならOS10.14以降、WindowsならWindows10がベストです。ただしそれ以外では動かないという訳ではありません。
音楽制作に必要なパソコンのスペック
以下の通りです。
1:ノートパソコン・デスクトップパソコンどちらでもOK。
2:CPUはintel core i5 以上(i7以上を推奨)、できるだけ新しい世代のものが良い。
3:ハードディスクは500GB以上(SSDを推奨)、できればメインをSSD(250GB以上)にしてハードディスク(1TB程度)をデータ保存用にしたいところ。
4:メモリ 8GB以上(16GB以上を推奨)。ただし4GBでも使用は可能。
5:グラフィックボードはCPU内臓のものでもOK。
6:光学ドライブは無くてもいいが、CDやDVDに読み書きすることもあるので後で必要になる可能性あり。ブルーレイ機能は必須ではない。
7:外部インターフェースはノートパソコンでもUSBポート(USB2.0以上)が3つは欲しい。マルチディスプレイ(2画面)用のHDMI・DVI・VGA等のポートがあればなお良し。
8:ディスプレイはフルHD(1920×1080)がベター。それ以下だと作業は出来るがややしづらい。
なお、これらのスペックは全てクリアすると快適に作業ができますが、クリアできないところがあっても作業自体はできるので、初めは全クリアにこだわらなくてもいいでしょう。
DAW(音楽制作用ソフトウェア)は何がいい?
DAWは色々なものがあります。DAWには機能がこれでもかと言う位に詰め込まれているのでなかなか入りにくいところもありますが、ビギナー用に機能を絞ったものもあるので最初はそういったものを使うのがいいでしょう。また、無料版があるDAWもあるのでそれらを使うのもありです。
それではDAWをいくつか紹介していきます。
Studio One
Studio Oneは最近特に人気の出てきたDAWです。特徴は操作のしやすさ。音楽ジャンルを問わず使えます。ドラッグ&ドロップ操作をベースに、複雑なメニュー階層もなく音楽制作に集中できます。
グレードは
- Professional 42,798円(税込)
- Artist 10,600円
- Prime 無料
の3種類です。( 価格は参考価格です)
ビギナーにはまず無料のPrimeがいいと思います。しかし実はその一つ上のグレードのArtistにはメーカーのPresonusから、音楽制作に必要なDAW(Studio One Artist)・オーディオインターフェース・マイク・ヘッドホン・ケーブルをセットにしたAudioBox iTwo STUDIO というパッケージが販売されており価格も26,278円(税込)と手頃なので、これがおすすめです。またこれにスピーカを加えたパッケージもあります。なおマイク等の機材については後に説明します。
動作環境は
Mac : macOS10.13以降(64Bit版) Intel® Core™ i3プロセッサーまたはAppleシリコン(M1チップ)
Windows : Windows 10 (64Bit版) Intel Core i3またはAMD® A10プロセッサー以上
Cubase
Cubaseは最もポピュラーなDAWのひとつです。音楽ジャンルを問わず使えます。歴史も古くビギナーからプロフェッショナルまで幅広い層からの支持があります。操作性は極めてノーマルと言えます。
グレードは
- Pro 54,291円(税込)
- Artist 31,300円
- Elements 11,910円
- AI ハードウエア(Steinberg社)のバンドル
- LE ハードウエア(他社)のバンドル
の5種類です。この他にiOS用のものもあります。 ( 価格は参考価格です)
ビギナーにおすすめなのはAIかLEです。音楽制作に必要なオーディオインターフェースに付属していますので、まずは1万円前後のものから始めてはいかがでしょうか。慣れてきたらArtistかProへアップグレードしていけばいいでしょう。
動作環境は
Mac : macOS Mojave (10.14) / Catalina (10.15) / Big Sur (11)
Windows : Windows 10 (1909 / 2004 / 20H2) *64Bit版のみ
Mac、Windows共に64ビット Intel / AMD マルチコアプロセッサー (Intel i5 以上推奨)
Logic Pro X
LogicはMac専用のDAWです。AppleのMacに付属するGarage Bandという音楽制作ソフトの上位版的なものになります。Mac使用者の間ではスタンダードなDAWと言えます。特徴は価格の安さで、24,000円程で販売されています。 (価格は参考価格です)
Cubaseと比較されることが多いのですが、Cubaseよりもスッキリしたクールな画面になっています。
動作環境はmacOS 10.15.7以降
Ableton Live
Liveはダンスミュージック制作において圧倒的なシェアを誇っています。コンサートのステージ上で使われたり、DJパフォーマンスで使われたりしています。そしてそれだけでなく、色々なジャンルの音楽制作において直感性やスピーディさを求める方にお勧めできるDAWなのです。
特徴はセッションビューと呼ばれる画面で、他のDAWと大きく異なっています。そのためCubaseなどから移ってきた人にはかなりの違和感がある様です。しかしビギナーには先入観がないのですんなり入り込めるかもしれません。
グレードは
・Suite 80,799円 (税込)
・Standard 48,800円
・Intro 10,799円
の3種類。(価格は参考価格です。)
動作環境は
Mac : macOS 10.13以降 Intel® Core™ i5プロセッサー
Windows : Windows10(Build 1909以降) Intel® Core™ i5プロセッサー/AMDマルチコア・プロセッサー
FL Studio
クラブ系音楽制作に向いたDAWで、直感的な作成に適しています。起動時間が短く、思いついたらすぐ音が出せます。コストパフォーマンスがいいのも特筆すべき点です。
グレードは
・Signature 27,650円(税込)
・Producer 21,450円
・Fruity 14,080円
の3種類ですが、ビギナーでも最上グレードのSignatureをお勧めします。 (価格は参考価格です)
動作環境は
Mac:macOS 10.13.6 High Sierra 以降 Intel もしくは Apple Silicon M1
Windows : Windows10以降(64Bit) Intel もしくは AMD ARM ベースのCPUとの互換性はありません。
解説本も必要
最近のDAWには紙ベースの取説が付いてない場合が多いです。オンラインマニュアルがあるのですが、結構見づらかったりします。
なので各DAWに対応した解説本に頼ることになります。リットーミュージック社等から出版されているので是非入手しましょう。
MIDIキーボードはどんなものがいい?
DAWでドラムやギター等の楽器を演奏したり打込み入力したりするのにはMIDI(ミディ)キーボードが必要です。
MIDIキーボードには白と黒の鍵盤の他に色々なボタンやつまみ等が付いています。
価格的には数千円からありますが、ビギナー向けとしては1万円台位のものがいいでしょう。
鍵盤数は49か61で、つまみ類はある程度揃っている方が後々便利に使えます。
Alesis V49 、M-Audio Oxygen 49、Native Instruments KOMPLETE KONTROL A49等がコストパフォーマンスに優れていてお勧めです。
なお鍵盤には普通より幅を狭くしたミニ鍵盤タイプもありますが、演奏性を考えると普通サイズの方がベターです。
ただリアルタイム録音をしないのならミニ鍵盤でもOKですし、25鍵盤や32鍵盤のものでも構いません。
自宅録音に必要な機材は?
パソコンとDAW以外にも必要なものが幾つかあります。宅録(自宅録音)用の機材について1つずつ説明します。
マイクロホン
ボーカルやコーラス、楽器や効果音などを録音するためにマイクは欠かせません。
マイクにはダイナミックマイクとコンデンサーマイクの2種類があります。どちらも宅録で使われますが、ダイナミックマイクは主にライブのボーカルや楽器の集音に使用します。ハウリング防止のためピンポイントで音を拾う特性になっています。
対してコンデンサーマイクはダイナミックマイクより繊細でクリアな音質で音を拾うため、主に録音スタジオなどでボーカルや楽器の収録に使われます。周囲の音まで拾うため遮断された空間で使うことが多いです。
コンデンサーマイクの方が価格が高いのですが、最近ではビギナー向けのマイクとしては、どちらのタイプも価格的に差がなくなってきています。
静かな環境で録音できるのならコンデンサーマイクの方がいいでしょう。車・電車などの騒音やエアコン・ハードディスクなどの室内音が気になる場合はダイナミックマイクを選択しましょう。どちらのタイプも1万円位で十分使えるものが入手できます。
それとケーブル(コード)とマイクスタンドも必要です。ケーブルはXLRコネクタのものを選びますが部屋の大きさ等によって長さが違ってきます。後述しますがオーディオインターフェースとマイクとの距離、そしてケーブルをどう引き回すかを考えて長さを決めて下さい。6畳間位の部屋であれば2~5m位といったところでしょう。価格的には1000円台から数千円位までがビギナー向けのものになります。
マイクスタンドはブーム付きの床上タイプが一般的で価格は2000円位からあります。省スペース化された卓上デスクアームタイプのものも同じく2000円位からの価格です。
さらに加えると、歌録りの際マイクに強く息がかかってノイズになるのを防ぐためのポップガードも必要な場合もあります。特にコンデンサーマイクの場合は必須アイテムです。これは数百円から購入できます。
オーディオインターフェース
音の入り口と出口の間のつなぎ役としてオーディオインターフェースが必要です。
具体的な役割は、
1:マイク・ギター・キーボード類などの音をパソコンに取り込む
2:パソコンに取り込まれた音をヘッドホンやスピーカーなどに送る。
この2点になります。
これも最近は低価格で高性能のものが多く出ており数千円から入手できますが、先を考えて1~2万円以上のものを入手したいところです。キーボードなどをステレオで入力できるタイプ(LINE入力がL/Rと2つあるタイプ)にしましょう
パソコンにもマイク入力やLINE出力などの端子がありますが音楽制作には向きません。ですからオーディオインターフェースは必需品となります。
大抵のオーディオインターフェースにはビギナー向けのDAWが付属するので、まずはそのDAWを使ってもいいでしょう。メーカーによって違うDAWが付いているので事前に調べてから購入して下さい。
なお、オーディオインターフェースとパソコンはUSBコードでつなぐものが多いです。他にもFirewireやThunderbolt等の規格がありますが中・上級者向きのものです。USBコードは大抵オーディオインターフェースに付属しています。
スピーカー
スピーカーについては、コンポのスピーカー等リスニング用のものでも初めはいいのですが、音楽制作用となると正確な音を求められますので、低音から高音までバランスよく再現するモニタースピーカーが必要になってきます。
モニタースピーカーには電源が必要なアクティブスピーカーと電源不要のパッシブスピーカーの2種類があります。アクティブスピーカーにはアンプが内蔵されていてパワードスピーカーとも呼ばれます。結構高価であるアンプがいらないので、アクティブスピーカーをお勧めします。
価格的にはL/Rペアで2~3万円位のものがいいでしょう。余裕があればもっと上のクラスのものを選んでも無駄にはなりません。
ただあまり予算に余裕がない場合は、1~2万円位のモニタースピーカーにして、その分次のヘッドホンに予算を投入するという手もあります。
ヘッドホン
ヘッドホンにもスピーカーと同じくリスニング用とモニター用があります。音楽制作用のモニターヘッドホンにはやはり低音から高音までバランスのとれた正確な再現性が求められます。
種類としては密閉型・半密閉型・開放型がありますが、最初にそろえるのであれば密閉型がいいでしょう。密閉型は音漏れが少ないため、騒音が入り込んでくる部屋でも比較的音が聞こえやすいというメリットがあります。また自分が聞いている音が漏れにくいのもメリットになります。
価格的には数千円から1万円程度までがビギナー向けと言えます。ただ、日本の音楽スタジオ等で必ずと言っていい程使われているモニターヘッドホンがあります。それはSONYのMDR-CD900STという定番商品です。
これは日本の音楽業界では標準となっている場合が多いので、予算に余裕があれば初めからこれにするのがいいでしょう。価格は1万5~6千円程です。
入門用セット
DTM・宅録ビギナーのためにDAW・マイク・オーディオインターフェース・ヘッドホン等をセットにしたものも販売されています。価格的にはかなり抑えられていますし、音的にも最低限はクリアしている様なので、予算をあまりかけたくない方はそういうセットもいいでしょう。
複数のメーカーからビギナー向けセットが出ていますが、お勧めはPRESONUSのAudioBox iTwo STUDIO USBで、これには次のものが含まれています。
- :オーディオインターフェース AudioBox iTwo
- :DAW Studio One Artist
- :コンデンサーマイクロホン M7
- :半密閉型ヘッドホン HD7
その他にマイクケーブル、USBコード、DAWに音の加工機能を加えるプラグインソフトウェアが付属します。
参考価格は26,278円。これはかなりのお買い得品です。
PRESONUSからはモニタースピーカーまで入っているセットも販売されてます。
まとめ
DTM&宅録は経験のない方にとってはやや敷居が高いものです。一番確実なのは経験豊富なアドバイザーに頼る事です。身近にいなければ楽器店に相談してみましょう。その前にこのページで予備知識を多少なりとも持っていた方が話が通じやすいでしょう。
全く何も揃っていないビギナーであれば、入門セットを入手するのが最も手早いです。使いこなしていくうちに物足りないと感じたモノからグレードを上げていけばいいのです。おそらくDAWのグレードアップが1番目に来るかと思います。もしかしたら他のDAWの方が自分に合っていると感じるかもしれません。
何にせよ先ずは使ってみる事です。これらの機材は慣れれば創作活動を強力にサポートするツールになります。快適な音楽制作ができるようにこのページがお役に立てれば幸いです。

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